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【クラクラ小説】 「TH2 バーバリアン」

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ここではない場所。いまではない時代。

小さな村がありました。

その小さな村には金山があり、それを狙って、欲深いゴブリンがたびたび村の金を盗みにやってきておりました。

その村の住人たちは無力でしたから、泣き寝入りをするしかなかったのですけれども、あるとき、謎の女より伝えられた武器「大砲」を使って、ゴブリンどもを撃退することができました。

不思議な女(「ただの村人」と名乗りました)は、村長の孫娘、年まだ10の、ペトラに向かって言いました。

「チーフ、ゴブリンの村を攻撃しましょう! 敵の本拠地をやっつけて、もう二度とこの村にやってこないようにするのです!」

村人娘が、一番えらい村長ではなく、なんで自分にこのように言うのか、少し不思議ではありましたけれども、ペトラはゴブリンが大嫌いでしたから、うんうんと、うなずかずにはいられませんでした。

すると村人娘は、それを待っていたかのように、暖炉から火を、馬小屋からわらを用意して、広場でそれを燃やしはじめました。

「のろし」をあげたのです。

その日はとてもよい天気でしたから、高く遠く、まっすぐに、煙が立ち上っていきました。

それからほどなくしてやみの森の向こう側から、見慣れぬ5人の男がやってきました。

5人が5人とも、水色のローブを身にまとい、長いあごひげをはやし、似たような顔をしており、ペトラは一目見て彼らを「魔法使いだ」と思いました。

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彼らはそれぞれ、「プロスペクター」「テーラー」「ブリュワー」「スペンダー」「ハンター」と名乗りました。

ペトラはそれを聞いて、「穴掘り屋さん、仕立て屋さん、酒屋さん、無駄遣いやさん、狩人さんだって!面白い名前!」と内心おかしくてたまらなかったのですが、村人がそっと、「遠い都の、象牙の塔からやってきた、とてもえらい魔法使いたちですよ、チーフ」と耳打ちしましたので、口を手で押さえて笑うのを我慢しました。

魔法使いのひとり”テーラー”は、ペトラに向かって頭を下げて言いました。

「我々は、この村を守るためにやってきました」

つづけて、”プロスペクター”が言いました。

「我々は、この村に眠る宝の量を、知っております」

最後に、”ハンター”が言いました。


「ゴブリンどもをやっつけて、この村を富み栄える世界一の都とするのです」。

それからの5人の動きは素早く、荷物も持たずに、まるで隣の家に遊びにいくような身軽さで近くのゴブリン村に行きますと、その手から繰り出す不思議な魔法で、あっという間にゴブリン村を焼き尽くしてしまいました。
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そのことを知ってペトラも住人も大変喜びましたけれども、村人娘だけは首を振って言いました。

「お見事です。ですが、ゴブリン村はまだまだたくさん、あります。戦える準備を整えるのです」

”テーラー”も言いました。

「我々5人だけでゴブリンすべてを相手にすることはできません。もっと兵士が、必要なのです」

すると魔法使い4人の視線が、すべて”プロスペクター”のほうに集まりました。

”プロスペクター”はあいわかったといったふうにうなずくと、小さなガラスのコップを懐から取り出し、地面の上に伏せるように置きました。

すると、どうしたことでしょう。コップの中に、紫色の液体がみるみる貯まってきたではありませんか。

葡萄酒にしては色が淡く、湧き水にしては色の濃いその液体を、プロスペクターは「エリクサー」と説明しました。

ペトラの初めてみるものです。

ほどなくしてプロスペクターがコップの下に木の板を差し込んで、こぼれないように器用にひっくり返すと、テーラーにそれを渡しました。

テーラーが左手で受け取ったコップを右手に持ち替えると、その空いた左手を紫の液体の上でひらひらとゆらしつつ、ぶつぶつとまじないをとなえ始めました。

ペトラがその様子を目を丸くして見つめること20秒ほどのち。

いつしかコップは空になり、テーラーとペトラの間に、金髪の半裸の男が立っておりました。突然に!

その男は、5人の魔法使いの誰よりも大きくたくましい体をしておりました。

刈り込んだ金髪に、長いもみあげ、口髭。粗末な腰巻にサンダル姿。

そしてそして、手には大ぶりの片手剣を持っているではありませんか!

無題

ペトラはその剣に気づくとびっくりして村人娘の後ろに隠れつつ。顔を背中からひょっと出して様子をのぞくと、金髪男は鼻の頭をかいてあたりを見回し、とくに乱暴をするわけでもなさそうです。

「この男はあなたの兵士。バーバリアンです、チーフ」と村人娘は言いました。

「敵の村をメチャクチャにしてまわる恐れ知らずな戦士です。エリクサーをためて、バーバリアンの軍団を作りましょう!」

ペトラとバーバリアンはふっと目が合いまして、男は片目をつぶってにやりと笑いました。
ペトラはつられてにっこり笑い、そしてバーバリアンのことを「なんだか好きだな」と思いました。

それからペトラは、祖父の村長に頼み込んで許しをもらうと、プロスぺクターの指導のもと、大工に「エリクサーポンプ」を作ってもらいました。

そして次に、テーラーのためには、ちっぽけな「兵舎」を建ててあげました。

プロスペクターの集めたエリクサーを使って、テーラーがバーバリアンを作るためです。

それから間もなく、村にはたくましいバーバリアンがどんどん増えてゆきました。増えて増えて、バーバリアンの数が30人になったころ、兵舎から兵士の飛び出してくるのはついに止まりました。

といいますのも、バーバリアンはパンを食べるし、お酒を飲むからです!それも、たくさん。

エリクサーから作られた兵士たちは、住人にちょっかいをだすこともなく「キャンプ」と呼ばれるねぐらでおとなしくはしていたのですが、いかんせん、食べる食べる!村人たちが運んでくる、山もりのリンゴやパンやチーズをあっという間に食べつくすのです。小さな村ですから、無駄飯ぐらいがこれ以上多くなっては、養いきれません。

ゴブリンを倒すためのバーバリアンのせいで村が食べつくされては、笑い話にもなりません。テーラーはそれを見越して、30人で兵士の作るのを止めたのです。

30人の戦士が揃ったのを知った村人娘は、ペトラに向かっていいました。

「チーフ、ゴブリンの森に行きましょう。敵を、倒すのです!」

ペトラが何か言う間もなく、バーバリアンの1人がひょいっと、ペトラを肩に乗せると、それを合図として、30人の戦士たちはいっせいに森に向かって歩き出しました。

ペトラは肩から落ちないようにあわててバーバリアンの頭にしがみつきました。

バーバリアンはのっし、のっしと一昼夜歩き続け、悪者どものねぐらのひとつ、「ゴブリンの森」にたどりつきました。

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ペトラを担いでいたバーバリアンはペトラをやわらかい草の上にそっとおろして、そのあと安全な岩陰を見つけて隠してあげました。

それから雄たけびを誰かが発したかと思うと、ほうぼうで野太い声の連鎖がはじまり、30人の戦士たちは一斉に飛び出してゆきました。

それからのバーバリアンの活躍たるや!

粗末な射手やぐらも、ゴブリンのバラックも、屈強な金髪の戦士たちの振り下ろす剣の前にむちゃくちゃに壊されるばかりでした。

静かだった森になりひびく、木の叩き割られる音と、バーバリアンのおたけび。
そしてギャーギャーと耳障りな悲鳴。

これまでペトラの村をさんざんいじめてきたゴブリンたちは、逃げまどうしかできません。

それを見ていたペトラは興奮のあまり、いつしか岩の上にのぼって、大声でバーバリアンを応援していました。

すばらしい大戦果です。

無敵のバーバリアン軍団は、勢いに乗ったその足で、ほうぼうのゴブリンのねぐらをたたきつぶしてまわりました。ひとつ、ふたつ。みっつと。

まさに破竹の勢いです。このままゴブリンどもを滅ぼしてしまいかねない勢いにペトラには思われました。

しかし、ゴブリンもさるもの。あるときから、ゴブリンの村には入り組んだ柵が建てられ、バーバリアンの突撃を防ぐ作戦に出たのです。

その思惑通り、柵のせいでバーバリアン軍団は村の中心部にまで攻めこめず、逆に、ゴブリンの大砲によって、さんざんに追い払われてしまいました。

村に帰ったペトラとバーバリアンたちはキャンプに座り込んで頭を抱えましたが、魔法使いの1人、テーラーが近づいてきて言いました。

「アーチャーを呼びましょう、チーフ。柵の向こうから敵を倒すには、弓矢が一番ですぞ!」

ペトラとバーバリアンたちは思わず顔を見合わせました。

そのときはまだ「アーチャー」とは何なのか。どれほど強いのか。

ペトラもバーバリアンも知らなかったからです。

それを見たテーラーは得意げに笑いました。

「実はもう、この村にアーチャーを何人か呼んでいるのですよ」

せつな、ペトラの耳に、ひゅうっと矢の飛ぶ音が、どこか遠くで聞こえたような気がしたのです。

<つづく>

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コメント

  1. せつな より:

    ゲームであるクラクラが物語になったようで何か感激です!
    クラクラを始めたころの懐かし気持ちかま蘇ってきました。
    ありがとうございます(^^)

  2. プラン より:

    さすがポンタさんですね 文才が有り余っている感じがします!

  3. ケントマン より:

    ウィザード「我々5人だけでゴブリンすべてを相手にすることはできません。もっと兵士が、必要なのです」
    ↓↓
    ウィザード「アーチャーを呼びましょう、チーフ。柵の向こうから敵を倒すには、弓矢が一番ですぞ!」
    あれ?例のウィザードの口調に…

  4. ふた より:

    話しなぁっげ…
    つまりどうゆうことだってばよ

  5. ゴブリン村のゴブリン より:

    最初に村を襲ったゴブリンは村人が雇ったんだよ!
    あれ以来ゴブリン村が積極的にあんたの村を襲ったことがあったかい?
    軍を創設したかった村人の自作自演だよ。

  6. のり より:

    めっちゃおもろい‼
    漫画にして発売しちゃいましょうよ🎵
    マージンは一割でおっけーです

  7. ピッコロ より:

    クラクラを始めた頃を思い出しました(*^^*)
    あの時、村ではこんな会話があったのかな?
    無理せずボチボチ執筆していって下さい。
    楽しみにしておりますm(__)m

  8. shu より:

    懐かしいですね、ホント
    初期の村の方が可愛くて、愛着がありますよねクラクラは

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