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【クラクラ小説】 「TH3 ババアチャ」

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ここではない場所。いまではない時代。
小さな村がありました。

その小さな村にいる小さなペトラはゴブリンを憎んでおりまして、「バーバリアン」という屈強な男たちとともにゴブリン退治に乗り出しました。

かなりの数のゴブリン村は、そのバーバリアンの軍団によって壊滅させられました。

けれども、ゴブリンもさるもの。ある時を境に、村の周囲に柵をはりめぐらし、バーバリアンの足を止める作戦にでてきました

バーバリアンは柵を壊そうと剣をふるいましたが、そのすきに矢をさんざんに射かけられて、みじめにも追い散らされてしまいました。

村に逃げ帰り、頭を悩ませたペトラたちでありましたが、とある一群の兵士がその悩みを救おうとしていました。

弓矢の達人「アーチャー」たちです。

ペトラは魔法使いのテーラーから「アーチャー」の話を聞いて、最初はバーバリアンのようなむさくるしい男たちを想像しました。

しかし、兵舎のほうから優美に歩いてきたアーチャーたちは、みなほっそりした若い女性たちでありました。

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いずれも、赤い髪は肩のところで切りそろえられ、動きやすそうな緑の服をまとい、大きな弓矢を背中に担いでおります。

そのうちひとりのアーチャーと目があったペトラは「こんにちは」と声をかけましたがアーチャーは目をそらし何も答えてくれませんでした。

それを見た魔法使いのテーラーは苦笑して言いました。

「彼女たちは、戦場でも友人関係でも距離をとりたがる弓兵です。打ち解けるのはむつかしい。目標が倒れるか壊れるまで攻撃をやめない、そんな性格の持ち主です。戦いの場では役にたつことでしょう」

「そっか、弓矢さえあれば、柵を超えなくても攻撃ができるんだ」

ペトラは喜びいさんでバーバリアンとアーチャーをひきつれ、次のゴブリン村にむかいましたが、またしても簡単に打ち減らされてしまいました。

バーバリアンとアーチャーがむちゃくちゃに、乱雑に、適当に攻め立てるうちに、ゴブリン弓兵が雨あられと矢を射かけてきてぼろぼろに負けてしまったのです。

村に帰ったペトラたちに向かって魔法使いの1人ハンターがいいました。

「指揮が必要ですな」



「指揮?」



「バーバリアンが前に立ち、アーチャーが後ろに控えるのです。敵の矢をタフな肉壁で受け止めて、その後ろから遠距離攻撃。これが指揮の基本ですぞ!」

そしてハンターは、兵士たちに向きなおって言いました。胸をはって、偉そうに!

「いいか、お前ら。次の戦い、バーバリアンは前で。アーチャーは後ろで戦え。わかったか?バーバリアンが肉壁で、ひ弱なアーチャーがそれに守られて戦うんだ。いいな?」

しかしバーバリアンもアーチャーもぶうぶう不平を鳴らして、従いません。

バーバリアンは「なんであんな弓女たちのために俺たちが犠牲にならなければならないんだ」と憤り、アーチャーは「守ってもらわなくても結構」と意地になっているようでした。

従順ならざる兵士たちにハンターが顔を真っ赤にして怒鳴っても不満の声はやまず、収集がつかなくなったころ、ペトラがバーバリアンの前に進み出て言いました。

「バーバリアンは男の子だもの、強いんだから女の子を守らなきゃダメでしょう。ほんと、強いんだから」

そして次にアーチャーのほうを向いて言いました。

「アーチャーがいなければ、柵の向こうの敵を倒せないんだから。バーバリアンの後ろで弓矢をがんばって。頼りにしてるんだから」

それを聞いてバーバリアンもアーチャーも納得顔で引きさがり、その作戦でいこうじゃないかという雰囲気になりました。

テーラーは笑って、顔を真っ赤にしたままのハンターを肘でつつきました。

「お前よりも、人の使い方ってものを心得てるんじゃないのか。あの子」

ハンターはまず不機嫌そうにひげをしごいて、次に苦笑して言いました。

「やるなあ」

そしてペトラは静かに言いました。

「私はね」

バーバリアンとアーチャーは黙って聞いています。

「ゴブリンにお父さんとお母さんを殺されたの。だから、仇をうちたいの。でも私はできないから、私だけだとできないから。みんなの力をかりたいの。お願いします」

そういって頭を下げたペトラを、一瞬の沈黙がつつみました。

そして1人のアーチャーが(あの、あいさつを無視したアーチャーです)、ぶっきらぼうに言いました。

「まかせておきな。仇はアタシがうってやるよ」

バーバリアンの軍団も雄たけびをあげました。

戦士たちの高まる戦意を見たハンターと、テーラーは、今度2人そろっていいました。

「やるなあ」

その近くで村人娘は微笑んでいます。

かくして、ペトラの「指揮」によって、バーバリアンとアーチャーは戦場で有機的に活躍することができ、いくつかのゴブリン村をまたたくまにたいらげてしまいました。

そしてある凱旋の途中。昼ですが夜のように暗い森の中。

ペトラは古道から外れたところにある古城が目に止まりました。

「あんなところに城なんてあった?」

いぶかしがるペトラに、村人娘は言いました。

「クランの城です、チーフ」

村人娘はペトラの手をひいて言いました。

「チーフの本当の戦いも、これからの道もきっとあの城の中にあります。行きましょう。ちょっと寄り道になるけれど」

<つづく>

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コメント

  1. かえで より:

    いやぁ面白い。よくこんなストーリー思いつきますなぁ。続きが気になります

  2. yoshi より:

    チュートリアルと公式のユニット説明の表現に忠実でいながら、ウィザードのしゃべり方にはpontaさんの味が出ていたりしてすごく面白いです。
    チュートリアルの先にどんなストーリーが待っているのか…楽しみに待っています。

  3. 一読者 より:

    作画山田さんで挿し絵いれて欲しい♪

  4. Ponta より:

    一読者さん
    そんな夢のような話、あったらいいですね。。

  5. Ponta より:

    よしさん
    小説はあまり公式設定からはみださないようにしています

  6. Ponta より:

    かえでさん
    嬉しいです。ありがとうございます

  7. 愛読者 より:

    いつも楽しく読ませて頂いてます。
    ひとつ気になったのですが、
    「彼女たちは、戦場で友人関係でも距離をとりたがる弓兵です。
    とありますが、正しくは
    「彼女たちは、戦場でも友人関係でも距離をとりたがる弓兵です。
    ではないでしょうか?
    細かいことで申し訳ありません。
    次回作も楽しみにしておりますので頑張って下さい。

  8. Ponta より:

    愛読者さん
    ありがとうございます。なおしました。

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