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【クラクラ小説】「TH4 クランの城の再建」

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ここではない場所。いまではない時代。
小さな村がありました。その小さな村に住むペトラの物語。
森の中で見つけた「古い城」に立ち寄ったペトラたち。
やぶを通り抜けて入った庭には雑草が茂っており、石の階段は苔むしていて、扉にはいたるところに蜘蛛の巣が張っておりました。
恐る恐る扉を開けて、中に入ってはみたものの、そこには壊れた椅子や机がひっくりかえりほこりにまみれているだけで、人の住む気配はありません。
ペトラはなんとなく失望を感じながら、吹き抜けのロビーにたたずみつつ、高い窓から差し込む光を見上げたそのとき。

ぎょっとしました。

3階あたりの廊下に、なにか人影が見えたような気がしたからです。
ペトラは思わず、村人娘にしがみつきました。

「何あれ!」
次の瞬間、その人影は手すりをふわりと飛び越え、ペトラたちのいる1階へと、布のようにゆっくり降り立ってきました。
「魔女だ」とペトラはすぐにわかりました。
魔女は、黒い髪を長く伸ばし、ぼろぼろのローブを身にまとい、ヤギの骸骨をあしらった杖を手に持った姿で力なく立っていました。
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しわひとつない肌は若く見えますが、血の気がないほど青白い顔は、若いというより、死人のそれに近いように思います。

一番の特徴はその目でしょう。

赤く底光るその不気味な瞳は、明らかにふつうの人間ではないことを物語っています。

魔女はけだるそうに「何か用?」と言いました。

「えっと…」と口ごもるペトラに代わって、村人娘は言いました。

「この城はここにいるペトラルカ=チーフの一族が治める村のもの。正当な持ち主が、下見にきたのです」

「私が今、住んでるんだけど」

「正当な持ち主は違います」

「面倒くさいなあもう…」

魔女は頭をぼりぼり掻きました。

「出てけってこと?」

「はっきり言えば、そうですね」

「どいつもこいつもアタシを邪魔者扱いして…」

魔女は顔を歪めました。赤い目が怒りに光ります。

「大丈夫?」とペトラは心配顔で村人娘の裾を引きます。村人娘は心配ないというように首をふりました。

「大丈夫ですよ。魔女とか、魔法使いといった人種は『契約』や『権利』を誰よりも大事にしますから。乱暴なことはしません」

すると魔女は急に眉を開いて、にんまり笑って言いました。

「お金持ってきて」

「え?」

「お金」

「それはどういう理屈ですか?」

「これまでこの城を保守してきたのは私なんだから、立ち退き料をよこしなさいよ。もらう権利が、あるはずよあたしには。権利がある」

村人娘は付け足しました。

「魔女は乱暴なことはしません…。しませんけど悪賢いですね…」

ペトラは値段を聞きました。

「40000G」

「たった一人の保守料で?高くないですか?」

「一人じゃないわよ!」

魔女は杖の先をいきなり地面にたたきつけ、その次の瞬間、骸骨がぼこぼこと地面から飛び出してきました。

骸骨はまるで生きているかのように地面に立ち、そのまま崩れません。

思わず後ずさるペトラと村人娘を見て魔女はホホと笑いました。

「見て!私にはこんなに友達がたっくさん。たっくさんいるでしょ?そう私はここにみんなで住んでるの。だから立ち退き料もたっくさん必要なの」

ペトラが「友達って、ガイコツが?おかしいよ」、そう素直な疑問を口にすると、魔女はこぶしをふりあげ、金切声をあげて怒り出しました。

「友達多いの!あたし多いの!金!お金持ってきなさい!そうでないと出てってやらないから!」

ほうほうのていで追い出されたペトラは村人娘に言いました。

「いいよ、住んでもらってれば。ね?この城、いらないよ」

「ダメです。ダメ。お金を用意しましょう。クランの城がないと『クラン』に入れないから…。うちの村にはこれまでゴブリンから取り戻したお金がそれくらいたまっているはずですよ」

村人はやけに城にこだわります。ペトラは不承不承うなずきました。

しかし村にお金を取りに戻った二人の目に入ったのは、略奪され、荒れ果てた村の姿でした。

「ゴブリン!?」

「違いますチーフ。これ、人間です」

そう言ってペトラは地面に刺さった矢を、腰をかがめて抜き去りペトラの目の前に差し出しました。

「人間の使う矢です。矢羽が鶏だもの。ゴブリンはふつう、カラスの羽を使います」

あわてて村を見回るペトラ。幸い犠牲者はいませんでしたが、金庫が破壊されておりました。

魔女に渡そうと思っていたお金はごっそり抜き取らています。

「ひどい…」

ペトラが半べそをかいていると、村人娘が言いました。

「リベンジです。リベンジをしましょうチーフ」

「リベンジ?」

「この村を襲った敵に逆襲するんです、チーフ。お金、奪い返しちゃいましょう」

「…なんだか怖いよ」

「大丈夫。大丈夫」

それからほどなくしてペトラ、村人娘、ババアチャ軍団の攻め込んだ敵の村は、ゴブリン村とは比べのものにならないくらいに軍備が整えられ、特に柵は黒々とした石で積み上げられておりました、

「こんな村、無理だよう」

「大丈夫、ほらチーフ。指揮をお願いします」

ペトラはしぶしぶその村に攻めかかりましたが、案の定、簡単に跳ね返されてしまいました。

「ほらー」

敗軍を率いた帰り道、とぼとぼ歩きのペトラが村人娘を責めましたが、娘はにっこり笑って、懐から布の袋を出しました。

「これ、全部ゴールドですよ」

ペトラは驚きました。

「負けたのに?」

村人娘はうなずきました。

「負けてもです。40000ゴールドありますよ。これで魔女から城を買えますね」

さて、お金を用意された魔女の怒ったこと怒ったこと。

「ちくしょう!ちくしょう!どいつもこいつも!あたしを余計者扱いして!ちくしょう!ちくしょう!」

歯をぎりぎりと食いしばり、地団太踏んで頭をかきむしりました。

「さ、出ていってください。もうあなたの権利はありません。」

魔女はがっくり肩を落として城から立ち去ろうとしましたが、ペトラはその姿が急にかわいそうに思えてきて「ねえ!」と呼びかけました。

「よかったらうちの村に来なよ。魔女さん」

魔女と村人娘はびっくりしてペトラを見ました。少女の顔は大まじめです。

「うちの村には、バーバリアンもアーチャーも、魔法使いもたくさんいるよ。さみしくないよ。あ、いやじゃなければ私の友達になってよ」

ネクロマンサーはどぎまぎしながら、言いました。

「…別にいやじゃないけれど。わたし暗いよ?気温下がるよ?冬にいたら迷惑だよ?」

「大丈夫だよ。うちには暖炉があるから」

ペトラはにっこり笑いました。

それから魔女はなんとなくペトラの村の兵舎に住み着くようになりました。

ときたま骸骨を召還しては爆弾を持たせて「ウォールブレイカー」なるものを作っています。

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「ペトラ、このまえあんた、敵の黒い壁のせいでお金をぜんぶ奪い損ねたって聞いたよ。こいつら連れていきな。きっと役に立つからさ。壁開けに」

魔女の言葉通り、ウォールブレイカーは爆弾を抱えて壁に特攻。どんな固い柵も破壊する活躍で、ペトラの軍の大きな助けになりました。

徐々に広がる領土。小さな村はもう、中くらいの村になっておりました。

そしてペトラも11歳になっていました。

そんなある日、村人娘はペトラに言いました。

「街に出ましょう、チーフ」

「街?」

「グローバルチャット・シティにはたくさんのクランが集まっています。そこでほかの村と同盟を結ぶのです。強いクランを見つけましょう。そうすればきっと、強い援軍をもらえますよ。ゴブリン退治にもきっと役立ちます」

「街かあ。どんな人たちが、いるのかな」

ペトラの胸は、思わず高鳴りました。

<つづく>

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コメント

  1. 一読者 より:

    このシリーズが始まってから、Pontaさんが如何に才能の無駄遣いをしてきたのかを知りました。
    是非完結させて下さい!少数派かもしれませんが、個人的にはヒーラーシリーズよりずっと好きで、毎日楽しみにしてます!

  2. 読者 より:

    いつも楽しく拝見させていただいております。
    クラン探す流れ……まさかの群馬クル━━━━(゚∀゚)━━━━??

  3. ポンコツリーダー より:

    wb追加をどうするのかと思ってたら…ネクロさんでしたか〜面白くて上手い物語だと思います。楽しみにしてます!

  4. より:

    ヒーラーの登場待ち…笑

  5. たなか より:

    Pontaさんの文才発揮!疲れない程度で良いので、続きを書いてくれると嬉しいです(n‘∀‘)η

  6. 一読者 より:

    素敵です
    なんとなくですけど、Wbの話が先に構想出来ててこの小説書いた気もするよく出来たお話です笑

  7. 筋肉紳士Hico より:

    このシリーズ楽しみに拝見しております!
    座談会コーナーとキャラがクロスオーバーする感じなのでしょうか。
    何よりヒーラーの登場に期待が高まります。最初はやさぐれていない、純粋な頃のヒラ姐さんが見れるのでしょうか…w

  8. takuya より:

    wbの出所はネクロでしたか…w
    この展開思いつくpontaさん凄いΣ(゜Д゜)

  9. Ponta より:

    一読者さん
    ありがとうございますー。アクセスすくなくてめげそうですが、完結はさせます!

  10. Ponta より:

    ポンコツリーダーさん
    ガイコツ系の裏にはネクロあり、な気がするんです

  11. Ponta より:

    読者さん
    群馬って登場させてもいんすかねえ

  12. Ponta より:

    ポンコツリーダーさん
    ありがとう、ございます!

  13. Ponta より:

    あさん
    ヒーラーはそろそろですね

  14. 一読者 より:

    読み口が山田悠介を彷彿させる
    映画化待った無し!w

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